衣裳
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おぉ!本気にするだろ |
「太鼓やってます」と人に話すとふたりにひとりぐらいの割合で「ふんどししめて?」と聞き返されます。ふたりにひとりは多いです! そう聞き返される理由はなんでしょう。ふんどしが似合う男だと、僕が思われているから? そうすると「僕はダンスをしています」と言っても「ふんどししめて?」、「サーフィンが好きです」と言っても「ふんどしして?」と返ってくるでしょう。が、たぶんそれはないです。だいいち僕は生まれてこの方ふんどしをしたことがありません。似合うかもしれませんが・・。
もうひとつは考えられる理由は、太鼓はふんどししめて叩くものというイメージをもっている人が多いから。たぶんこちらの方が正しい推測でしょう。イメージはともかく太鼓はふんどししめて叩くもんじゃという見識は正しくありません。ではなぜそんなイメージを持っているのでしょう。ためしにインターネットグルグル先生に尋ねてみたところほとんどの太鼓の画像ではふんどしをしめてませんが「鬼太鼓座」と「鼓童」の写真はふんどしオンパレードでした。
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元祖「ふんどし」鬼太鼓座 |
「鬼太鼓座」、「鼓童」といえば云わずと知れた佐渡ケ島発祥の太鼓プロ集団でその人たちが太鼓のみならず太鼓=ふんどしというイメージまで多くの人に植えつけたようです。その事実はすごいと思います。ぼくに「ふんどししめて?」と聞いた人はおそらく「鬼太鼓座」も「鼓童」も知らないと思います。だけど太鼓はふんどしでたたくものと思っているのです。それだけこれらのプロの方々の太鼓をメジャーにした業績は大きいということでしょうか。
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御陣乗太鼓 |
昨年夏には地元鶴見の総持寺に「御陣乗太鼓」の方々がきて大変気合の入った独特の太鼓を披露されていましたが、衣裳は短い着流しだったり、はんだこだったり、甚平だったりです。どの一様に恐ろしげな面をかぶっています。
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エイサー |
沖縄のエイサーの衣裳はとても独特ではファッショナブルです。グループによって本当に様々な趣向がこらしてあっておしゃれです。見様によっては南方の民族衣装にも東欧の民族衣装にも見えます。ルーツにつながりがあるのかもしれません。
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黄八丈を着ての八丈太鼓 |
八丈太鼓発祥の八丈島では、踊るように太鼓を打つ女性の黄八丈姿が印象的です。昔からの八丈島のたたき方を継承されている方々は着物姿で足をそろえて日本舞踊のようにきれいに太鼓を叩いています。昨年の24時間チャレンジ太鼓のときにもきれいな黄八丈で参加された方々に見入ってしまいました。
そろえるためにはもっとも高価な衣装ともいえます。昨年八丈島に行った折にお土産に黄八丈を使った品物を探したのですが、とても高くて小さなペンケースを買えたぐらいでした・・。
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ジョンさん:鶴見明神太鼓の衣裳、春美先生:八丈太鼓キタマダの衣裳 |
八丈太鼓キタマダでも、鶴見明神太鼓でも出演の際は上から、鯉口シャツ、腹掛け、股引き、地下足袋、という姿です。鶴見明神太鼓では、祭りのときは木札を首からぶら下げて半纏を着て帯を締めます。たまに手甲もします。実はこのスタイルやこれに近いスタイルをする太鼓打ちのひとは多いようです。この服装は太鼓打ちのスタイルというよりも元は昔の職人や車夫の作業着です。体を動かす職人の着物だけにとても動きやすいです。また職人ならではの粋がつまっていて、着こなすと恰好がいいです。一見地味なだけに趣向をこらしてみようかなと考えてしまいます。中学生のときに学生服になんだかんだと改造をしつづけた感じに似てます。
太鼓は衣裳が叩くのではなくもちろん衣裳の中身が叩くのですが、例えば僕たちが履いている股引の場合は体にぴったりフィットするのでビシッときめると気合が入ります。特に腿から下は脱ぐときに苦労するぐらい足を締めています。腰の周りは紐で縛るのですがびしっとしまるようにいつも気をつけて引き上げてはきます。そうしないとお尻の周りがぶよぶよになって何ともだらしない格好になるからです。腹掛けも同じですね。きゅきゅきゅと上半身をしめて気合を入れます。
あそういえば、初めて赤羽の「馬鹿祭り」に出演させて頂いた時のこと、すべての演奏が終わって片づけをしているとピアスをした青年が近寄って来たことがあります。そして一言「上半身は裸とかでやってもらえませんか」(@@)" いんやー、まだそれほどのものではないです。丁重にお断りしました。